社会福祉士国家試験の定評ある解説書『レビューブック』の監修と問題集『クエスチョンバンク』の問題解説を担当しました。
『クエスチョンバンク』は、直近の第35回の「社会理論と社会ステム」の問題(35-15~21)と「保健医療サービス」の1問題(35-72)を担当し、『レビューブック』は「社会理論と社会ステム」の章を担当しました。
「社会理論と社会ステム」分野の問題は、すべて標準的な問題でしたが、とっつきにくい方もいると思います。そこで、問題解説の欄では、単なる丸暗記に頼ることなく、効果的・効率的に理解し記憶に定着させるための学習法についても記載しました。ぜひ参考にしてください。
国試の解説書が研究業績になることはありませんが、読者の皆さんは場合によっては社会学専攻の学生以上に真面目に読み込み必死になって勉強し、そして国試の結果が人生を左右することもあります(前任校の新潟医療福祉大学の学生の顔が思い浮かぶ……)。ですので、この仕事も、研究と同じように真摯に取り組みました。
また、『レビューブック』は、過去問の出題内容を分野ごとに取りまとめたものをベースとして、毎年、改訂され続けています。今回の監修では、国試対策&過去問準拠という本書の性格を維持するために、最低限の朱入れにしようと努めました。ただし、以下の観点から修正が必要と思われる箇所について、朱入れを行いました。
- 明らかに内容が間違っているところ:マルクス、パリ協定など
- 基本的なレベルで内容が不正確なところ:官僚制など ※重箱の隅をつつくような指摘は避けました
- 誤解を招きかねない記述がなされているところ:アノミー論など
- 非論理的な記述がなされているところ:財政力指数など
- 記述があいまいで、具体的な理解が困難なところ(丸暗記を強いることになりそうなところ):象徴的相互作用論など
- 用語が難しいところ(←欄外注釈を追加):「環節」など
これらのほとんどは、過去問準拠のため、これまであえて手を入れていなかったであろう箇所です。過去問の記述は必ずしも正確ではないため(「最も適切なものを選べ」なので)、過去問の記述を採るか、正確ないし分かりやすい記述を採るか、バランスの問題でもあります。
ただし、インターネット上で散見される社会学の誤った解説記事(学生が引用してくる……)は一体どこから来ているのだろうと思っていたところ、さまざまな社会福祉士国家試験の過去問集や解説書から転載されたものが結構あることに気づかされました。
せっかく、受験学生の皆さんが一生懸命勉強しているのだから、その姿勢に応えるべきと考え、編集部の方と相談し、受験学生の皆さんに資すると考えられる朱入れを行いました。
また、今回の作業は私の社会学のゼミの学生にも協力してもらい、学生目線を加えたダブル・チェックを行いました。