婚活時代における未婚・独身男性の余剰率(都道府県別)

今日の「婚活」の厳しさの一つとして、30代、40代の未婚・独身男性の数が女性よりも遙かに多いことが挙げられる。前回は山形県の婚活男性が婚活女性よりもはるかに多いことに着目してこのことをみたが、今回は都道府県による違いに目を向けたい*1

未婚・独身男性余剰率は東高西低

まず、平成22年国勢調査の結果を用いて、30代~40代前半の「未婚者」と「独身者」(未婚者+離婚者)について、それぞれ男性がどの程度多いのか(=男性余剰率)を算出したのが下図である(図はクリックすると拡大します)。
未婚・独身男性余剰率(30代~40代前半)
未婚者の男性余剰率は、栃木県(47.9%)、茨城県(47.9%)、愛知県(45.5%)の順に高い。この数値は、未婚女性10人に対して、未婚男性が14~15人いることを意味している。逆に低いのは、福岡県(16.6%)、鹿児島県(17.2%)、長崎県(19.7%)であり、東高西低の傾向が見られる。

未婚者に離婚者を加えた独身者でみると、どの都道府県も未婚よりも余剰率は低くなる。離婚した男性が未婚女性と再婚するケースが、その逆のケースよりも多く、離婚女性が離婚男性よりも多いからであろう。

なぜ、これだけの男女差が生まれるのか

そもそも男女の出生数の差は5%程度であるのに、どうして、数10%もの男女差が生まれるのだろうか。その原理を図示すると次のようになる。
婚活の男女格差の原因
そもそもは、男性105人対女性100人で5人(=5%)の差であったものが、男女それぞれ75人が結婚したとすると、未婚者の数は男性30人、女性25人となり、男女差は5人のままであるが、比率は20%に拡大するのである。こうして、独身女性1人に対する独身男性の数は、年を重ね、周囲の婚姻率が挙がるにつれて増えていくことになる。

したがって、都道府県間の男性余剰率の差も、社会的移動の男女差とともに、婚期の違い、さらには離婚率の違いによってある程度説明できると考えられる。社会的移動については、製造業の盛んな県(愛知、静岡、北関東)は独身男性が集中しやすく、余剰率が高い傾向が認められる。

年代ごとにみる未婚・独身男性余剰率

最後に、年代ごとの未婚男性余剰率と独身男性余剰率を都道府県別に計算した。はじめに、20代後半を下図に示す。
未婚・独身男性余剰率(20代後半)
平均初婚年齢が30歳近くになった今日、未婚・独身ともに20代の男女差はまだまだ大きくないが、すでに東高西低の傾向が認められ、九州では女性の独身者の方が多い県も見られる。

以下、30代前半、30代後半、40代前半の順に見る。東高西低の傾向が次第にはっきりとしてくるのがわかるだろう。
未婚・独身男性余剰率(30代前半)
未婚・独身男性余剰率(30代後半)
未婚・独身男性余剰率(40代前半)
もちろん、これらの年代のすべての男性と女性が等しく結婚を希望しているわけではないだろうが、都道府県ごとに婚活の状況に大きな違いがあることが分かる。

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