前回は、国立大学法人の医療系職員の一律給与削減の問題点をみましたが、そもそも、国立大学法人の給与は国家公務員よりも相当に低いという問題があります。ここでは、事務職員・技術職員について見てみます(ちなみに私は教育職であり、自分の給与のことをとやかく言うつもりはありません)。
もちろん、事務職員・技術職員の場合は、前回見たような医療職(+教育職の医師)のような特殊な事情があるわけではないので、単に「給与削減反対!」と叫ぶのであれば、それは私利によるものととられかねません。しかし――
国家公務員の平均給与額を100として、当該組織の平均給与を比較した「ラスパイレス指数」(職員の学歴・経験年数構成の違いを国と整合させて算出)というものがあります。すなわち、この指数が100を下回れば、国家公務員の給与水準よりも低く、100を上回れば、国家公務員の給与水準よりも高いということになります。
そこで、一例として、山形県内の各市町村と山形大学の指数を並べてみました。
財政が逼迫している県内の他市町村と比べても、山形大学は群を抜いて低いことがわかります。そして、こうした事実は山形大学に限ったものではなく、国立大学法人の給与は全国的に低水準にあります(平成22年度の全体値は86.8)。
したがって、国立大学法人職員は、もともと国家公務員(そして地方公務員)よりも給与水準が相当に低いにもかかわらず、さらに国家公務員と足並みをそろえて組織単位で平均7.9%の給与削減が行われるのです。
そして、前回の件も含め、こうした点についての政治的議論はほとんどなされていないのです。
このように、個別の給与の絶対額の多寡は別にしても、今回の給与削減方針は、政治的正統性・公平性の観点からして大きな問題があることがわかります。
本記事中の「技術職員」とは、独法化前の「技官」にあたる方を指します。附属病院で勤務される技師の方々は当然、前回見た医療職の範疇に属します。