恩師の影響を実感~吉原直樹著『都市社会学』御恵送

吉原直樹著『都市社会学』東京大学出版会、2018年。

概要

都市社会学は,これまで,そしていま何をめざしているのか.都市社会学を長らく牽引してきた著者が,隣接する諸科学と共有する知の枠組みを積極的に開示し,現代都市のフロンティアを具体的・経験的にとらえながら,その全体像を示すテキスト.

短感

吉原先生の近年の研究関心のひとつにモビリティーズ・スタディーズがあります。本書では、このモビリティーズ・スタディーズの水脈のひとつが1990年代にピークを迎えた空間論的転回にあること、ひいては、都市社会学のシカゴ学派に始まり、ジンメル都市論にまで立ち帰ることができることが、吉原先生のこれまでの論考を通して描き出されています。そして、現代都市社会学もまた移動論的転回が不可避であることが主張されます。

講義録がベースになっており、用語集もあり、明解な記述が続きます。私がいまアクターネットワーク理論に着目しているのも、(医学部時代の経験とともに)院生時代に吉原先生から受けた影響が大きいのだと、改めて実感させられました。

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