一工夫したポストイット(付箋)とノック式蛍光マーカーで読む読書術

本を読んでもすぐにその内容を忘れてしまう。本棚に並ぶ本を見て、その内容を思い出すことができるのは、最近読んだ自分の専門分野のものぐらいである。記憶力が欠けている。どうしたらよいか。試行錯誤の末、辿り着いた私なりの読書術を紹介したい。 目次1…

緩和ケアの「社会化」を目指して(医学科3年研究室研修報告書)

山形県立中央病院・緩和ケア病棟の中庭 山形大学医学部医学科では、3年次の夏に「研究室研修」が設けられており、各学生が希望する講座で1か月間、研修することになっている。本講座では、純粋医療・医学については関知していないため、他の講座とは異なり…

ただ生きてあることの等しさ―川口有美子『逝かない身体―ALS的日常を生きる』

自分の存在の「価値」に悩むことがある。「社会的価値」や「経済的価値」などといった一面的な価値が人間の価値そのものであるかのような錯誤が世界を覆っている。そのなかで自分の価値は相対化され、ものさしで測られるものとなり、気がつけばいたずらな富や…

グローバル資本主義との付き合い方(1)―ナショナルな政治過程との連環

2009年の政権交代が失敗に終わったとされるなか、鎖国主義に根ざしたナショナリズムに対する支持とともに、ポピュリズムを背景とした新自由主義(グローバリズム)が再び台頭し、両者の二項対立図式が語られるようになっている。しかし、両者は見せかけの…

「自治体病院再編に対する住民サイドからの事後検証―置賜総合病院を核とした自治体病院再編を対象にして」『日本医療・病院管理学会誌』49巻4号掲載

伊藤嘉高, 村上正泰, 佐藤慎哉, 新澤陽英, 嘉山孝正, 2012, 「自治体病院再編に対する住民サイドからの事後検証―置賜総合病院を核とした自治体病院再編を対象にして」『日本医療・病院管理学会誌』49 (4): 27-36. 目次1 要…

まなざしの地獄―メラニー・フェネル『自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法』

自分に自信を持てず消極的な人生を過ごしている人間に対して、「前向きになろう」とか「ポジティブに考えよう」とかいったお気楽なアドバイスがなされることが多い。しかし、「ネガティブ・シンキング」から脱却するために希求されるべきは、そうしたお気楽な…

なぜ病院から「追い出された」と感じるのか―宇都宮宏子編『退院支援実践ナビ』

友人や知人から、病院から退院する際、「追い出された」という話を聞く。なぜそうした事態に至るのか? 病院内の医療提供体制のみに目を向けた近視眼的な回答をするならば、こうだろう。 すなわち、日本は、医療費抑制政策を背景とした、先進諸国と比較した…