脱原発運動の特殊性と普遍性―青木聡子『ドイツにおける原子力施設反対運動の展開』

日本では、東日本大震災(福島第一原子力発電所事故)以後、脱原発が一大政治争点化しているが、その先駆けをなすのがドイツである。2000年6月には、早くも連邦政府(社会民主党&同盟90/緑の党連立政権)が、国内20基の原子炉の段階的停止などの基…

診療所(医院、クリニック)の将来患者数を予測する―1開業医当たり20%以上の減少も(2030年山形県)

医療提供に真に必要な医師数を推計することは困難だ。厚生労働省「医師の需給に関する検討会」の医師需給推計を背景に医学部入学定員抑制が進められた結果、今日の「医師不足」の事態が引き起こされた。 昨今、再び、医学部定員増が進められているが、その流…

なぜ制限用法の関係代名詞でも前から訳すべきなのか―虫の目の日本語

これまで、ジョン・アーリを中心に、いくつかの学術翻訳(社会学系)を行ってきた(輸入学問に身を染めないように注意!)。大学院生時代には、翻訳に関して技術指南書を含めさまざまな書籍を読んだ。そうした書籍でまず強調されるのは、学校で学ばされる英文…

「食の風景と移民コミュニティ」『人の移動事典―日本からアジアへ・アジアから日本へ』所収

吉原和男代表編『人の移動事典―日本からアジアへ・アジアから日本へ』(2013年、丸善出版)所収、伊藤嘉高「食の風景と移民コミュニティ」340-1頁。 拙論では、食とアイデンティティ/差異化という基本的視点から説き起こし、食の風景がグローバル…

無印のなかの場所―近森高明・工藤保則編『無印都市の社会学』御恵送

近森高明・工藤保則編『無印都市の社会学―どこにでもある日常空間をフィールドワークする』が法律文化社より刊行された(近森先生、ご恵送御礼)。複製されたジャンクな消費装置であふれかえる今日の都市空間が本書の対象とされる(たとえば、コンビニ、ショ…

生の固有性と「都市的なるもの」―『都市のリアル』(有斐閣)刊行

第8章「生と死のあいだ―都市高齢者の孤独に向き合う医療と介護」を担当した吉原直樹・近森高明編『都市のリアル』が有斐閣より刊行された。 本書は、今日の都市社会学の教科書として位置づけられている。その筋書きはこういうことだろう。「大きな物語」を…