伊藤嘉高・淡島正浩『診療報酬請求ハンドブック』刊行

伊藤嘉高・ 淡島正浩『診療報酬請求ハンドブック』ウィザップ、2020年刊行.

医療事務系の病院総合職を目指す学生のために、類書にはない特徴をふんだんに盛り込み刊行(診療報酬請求事務能力認定試験対応)。刊行の背景は、新潟医療福祉大学医療情報管理学科のブログ記事「大学の学部で医療事務を学ぶということ~『診療報酬請求ハンドブック』とともに」で記しています。

この記事では、「はじめに」を掲載します。

はじめに

IT化による事務業務の自動化が進むなかで、医療事務職に求められる知識とスキルも大きく変わっています。コンピュータでも代替できるような表面的な診療報酬請求の知識だけでは不十分な場面も増えてきました。

したがって、これからの医療事務職や医療IT職に求められているのは、診療報酬の表と裏を読み解く力を有し、診療録(カルテ)を読みこなす医学・医療知識を十分に備えた人物です。さらには自院の膨大なレセプト・データ(さらには、DPCデータ)を分析することで診療報酬改定に対応するなど、病院経営に貢献できる力も求められています。

医療事務系の民間資格は数多くあります。しかし、残念ながら、上記のような高度な能力に対応した資格はありません。そのため、皆さんが真の実力をつけるには、コンピュータで置き換えられるような能力(手早い計算やミスの防止)を磨き資格試験に合格するだけでは不十分なのです。では、どのように資格試験に取り組めばよいのでしょうか。

そこで皆さんにお届けするのが、この『ハンドブック』です。本書は診療報酬点数表に収録されている各診療項目について、頻出項目を分かりやすくまとめたものです。さらには、点数表を体系的に理解するのに役立つ項目も選びました。さらに、皆さんがミスなく手早く引く際の助けとなる解説も付しています(頻出項目とともに、ミスしやすいところに別々の色でマーカーを引きましょう!)。あとは、診療報酬請求に関する体系的な理解を身につけさえすれば、資格試験の合格はもう目の前です。

しかし、あらゆる勉強がそうであるように、一夜にして体系的な理解を築くことはできません。そのためには繰り返しの学習と演習が不可欠です。それは、項目をミスなく手早く引けるようになるための機械的な演習ではありません。あくまで、体系的な理解を築くための知的な演習でなくてはなりません。たとえば「どうしてこの患者(疾患)には、この検査や治療が必要なのか」といった視点を持って、日々の学習を深めてください。

資格試験は「入口」にすぎません。すでに現場で活躍している先輩たちとともに、医療事務と医療ITの輝ける未来を一緒に築いていきましょう!

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