留学生の方については、現在、2027年4月以降に大学院進学を希望する方(2026年10月以降に研究生としての入学を希望する方)を募集しています(すでにご連絡頂いている方を除き、これよりも前の受け入れ枠は埋まっています)。

主に中国の方から毎週(時期によっては毎日!)のように進学希望のメールが届きます。しかし、そのほとんどは、具体的な研究計画が記されておらず、多数の教員に同一のメールを送っているものと思われる内容になっています。

そうしたメールにわざわざ返信する教員はまずいないでしょう。その学生のキャリアを真剣に考えるならば、とても責任をもって受け入れられないからです。私も当初は、なぜ受け入れることができないのかを丁寧に記した返信をしていましたが、それに対して返信をしてくれる学生は皆無に近く、途中からは返信するのをやめてしまいました(現在は、このページのリンクをお伝えする返信をしています。それに応答してくれる方もほぼ皆無ですが……。)

その結果、みなさんは、不毛にも、機械的に同じメールを多数の教員に出し続けることになってしまっています。しかし、みなさんに必要なのは、同じメールを出し続ける根気強さではなく(もちろん、業者に代行を依頼することでもなく!)、何よりも「代表的な先行研究の成果を踏まえた研究計画書」です。日本の大学院の中心にあるのは、コースワーク(授業の履修)ではなく、リサーチワーク(研究)だからです。

研究計画書の書き方

研究計画書は一から自力で書いてください。そうでなければ、正当に評価できないですし、大学院の入学試験がパスできません。あくまで私の基準ですが、研究計画書を書く際に気をつけるべきことは、以下の2点です。

  1. 先行研究を十分に踏まえているか:まずは、自分の研究分野の大きな流れと代表的な研究書の成果を踏まえているかどうかが重要です。論理的な思考力も問われます。
  2. 日本で研究を進めるための語学力が備わっているか:研究計画書によって日本語の能力も判断されてしまいます。十分に推敲してください。

もちろん、上記以外にも、研究テーマにオリジナリティはあるかとか、2年間で実行可能な研究計画になっているかなども重要ですが、私の所属している大学院の場合は、まずは研究生として受け入れるので、それらについては大学院の入学試験までに固めてもらえばよいと考えています。

新潟大学大学院現代社会文化研究科に進学する場合

私が所属している新潟大学大学院現代社会文化研究科に海外から進学する場合、まずは学部の研究生として入学し、半年ないし1年間後に大学院に進学してもらいます。

人文学部の研究生には、4月入学と10月入学の2パターンがあります。たとえば、10月に研究生として入学した場合、順調に進めば、2月に大学院入試を受験し、4月から大学院に進学することができます。

なお、研究生として入学する際には、事前に入学資格(出願資格)の確認を受けた後に、出願する必要があるので注意してください。10月入学の場合、例年4月上旬までに資格確認を行う必要があり、5月上旬に出願することになります。

この資格確認の際には、前述の研究計画書、指導教員の内諾書に加えて、日本語能力試験(JLPT)成績証明書(N1合格点以上)が必要になります。

研究生制度の注意点

研究生の制度は日本の国立大学特有の制度ですが、その実態は十分に伝わっていないようです。まず、どの大学院でも、研究生になったからといって必ずしも合格できるとは限りません。研究生になることで、さまざまな授業を聴講したり、ゼミに参加することもできるはずですが、研究生に対する教員の個別指導は義務化されていません。

研究型大学であればあるほど、指導教員が研究生の主体性を重視し、ほとんど指導しない場合もあります(私の場合は後述します)。手取り足取り教えて大学院試験に合格できたとしても、入学後に主体的に研究が進められなければ、修士論文を書き上げることはできず、本人にとっても時間を無駄にしてしまうからです。実際に、大学院に合格できずに帰国する者や他大学の大学院進学に切り替える者も少なくありません。

私を指導教員として進学したい場合

私の研究室の場合、上記の条件を満たしていれば、学部が日本語専攻の学生であっても受け入れています。修士課程修了後に民間企業就職を考えている場合や、他の大学院の博士後期課程への進学を考えている場合でも、まったく問題ありません。

学部在学中(undergraduate)のあいだに進学希望のメールを出してくれれば、よりスムーズな受け入れが可能です(可能な限り大学院での研究テーマと結びつけたテーマで卒業論文を書いてください)。まずは、Zoomで面談を行い、お互いに大きな問題がないことが確認できれば、受け入れ枠の範囲内であれば原則として受け入れます

ただし、あなたの人生にとって重要な選択になりますので、他の大学院もぜひ検討してください(そのための情報提供もします)。そのうえで、本学への進学を決意された場合は、研究生として入学するまでに、こちらで指定した日本語の社会学の教科書を使って、日本人の学生とのレッスンを受けます(もちろん料金などは発生しません)。まず、教科書に登場する重要語句について、その内容と自分で考えた具体例を日本語でまとめてもらいます。1章ごとに完成したら、メールで送ってもらいます。内容や日本語表現が不正確なところを指摘しますので、さらに修正して再提出してもらいます。それでも修正しきれていない箇所は、正答例を教えます。

研究生として来日後は、学部のさまざまな社会学の講義やゼミに参加してもらうとともに、入学前に読んでもらっていた教科書を使って、次の課題に取り組んでもらいます。その際には、チューターの日本人学生から指導や助言(最大40時間)を受けることもできます。これらの課題に取り組めば、大学院入試の専門科目の試験は突破できるはずです。

研究生として入学した後は、大学院受験用の研究計画書を書き上げるとともに、面接の対策も必要になります。これらについては、私が研究テーマや研究方法を決めたり押しつけたりすることはありません。あくまでご自身でチューターの学生と相談しながら、私のゼミでも発表しながら、進めてもらいます。もちろん、研究計画について必要なアドバイスやサポートは適宜、行います。

上記を読んだ上で、なお進学を希望される場合は、履歴書(CV)、代表的な先行研究を踏まえた研究計画書(草稿で構いません)、日本語能力試験(JLPT)成績証明書(N1合格点以上)とともにメールでお知らせください(このページを見た旨も明記してください)。お待ちしています!