学術翻訳について~おすすめ書籍を紹介

(高専の哲学の授業の夏の課題図書でした。)

恩師である吉原直樹先生のもとで、数々の学術翻訳に携わらせていただきました。

幸い、多くの方から「読みやすい」との評価をいただいています。

私の翻訳法は、大学院生時代に吉原先生に鍛えていただいたものですが、根本的には、ベルクソン研究者である岡部聰夫先生のひそみに倣ったものです。

「明瞭に表現された誤謬は、曖昧な正しさより、はるかに貴重」

岡部先生は、私が高校生(正確には高専生)の時分から哲学読書会にお誘い頂き、経験的な哲学に目を向けるきっかけを作ってくださいました。岡部先生は、『物質と記憶』の新訳『物質と記憶力』のなかで、「日本語として意味不明の訳文が、すべて語訳であることはいうまでもない」と宣言されたうえで、こう指摘されています(澤瀉久孝先生とのエピソードだとお伺いしています)。

むかし、ひとつのパラグラフを訳すごとに、「テキストから目を離して」、「自分自身の言葉で」説明することをつねに求められたが、これはたんに、自分自身に感情的基盤のない言葉は決して使わないというだけではなく、間違ったとらえ方をした場合であっても、もしそれが明瞭な言葉で表現されていれば、これを正しい道を見いだすための手がかりとして利用できるからであった。この意味で、明瞭に表現された誤謬は、曖昧な正しさより、はるかに貴重なのである。(473頁)

私自身もまた、「テキストから目を離して」、「原著者が日本語話者だったらどう表現するだろう」と一呼吸置くクッションを入れることで、「よく意味は分からないけれど、辞書の訳語を当てはめればこうなる」という惰性を避けるよう努めてきました。

おすすめの翻訳指南書籍

もちろん、心構えだけでは翻訳技術は上がりません。何よりも大切なのは経験と反省だと思いますが、今よりもはるかに経験が不足していた院生時代は、ほぼすべての翻訳指南書籍を読み込みました。

とくに面白かったものをご参考までに紹介します!

翻訳に役立つサイトもあります!

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