「『社会なき社会』と『世界の縮小』」「アクターネットワーク理論における都市」『都市科学事典』所収

横浜国立大学都市科学部編『都市科学事典』(春風社、2021年)所収、伊藤嘉高「『社会なき社会』と『世界の縮小』」(126-7頁)、「アクターネットワーク理論における都市」(948-9頁)。

都市に関わる多分野の専門知を体系化・再編成し、経験知と融合させて実践的に活かすための事典。10の領域群に476項目、執筆者348名による「都市の知」の集大成。

「『社会なき社会』と『世界の縮小』」冒頭抜粋

私たちの生活は、世界中のものとのつながりによって成り立っている。経済活動は国境を越え、金融システムは国境を越え、環境問題は国境を越え、インターネットは国境を越えて広がっている。世界の時空間、つまりは、私たちの時空間は急速に収縮しているように見える。私たちは、グローバルな「社会」のなかで生きるようになっている。

ただし、今日の「社会」の姿は、かつての姿と大きく異なる。20世紀の社会学は、社会を「一種独特」のものとして、つまりは、自律的で自己再生産するものとみなしてきた。……

「アクターネットワーク理論における都市」冒頭抜粋

アクターネットワーク理論(ANT)は、説明要因としてミクロなものもマクロなものも持ち出さない。あらゆるものをフラットに並べて、その連関のなかから諸々の出来事が生まれ出ていると考えるのである。したがって、「都市」という容器が外在しており、「そのなかで」私たちが生活しているとは考えない(Latour et Hermant 1998)。……

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