「COVID-19以後のツーリズムと地域社会」(立命館大学人文科学研究所Webinarシンポジウム「ツーリズム・モビリティーズを問い直す」)

立命館大学でのシンポジウム「ツーリズム・モビリティーズを問い直す」(2022年1月23日開催)でパネリストとして登壇します。基調講演はMimi Scheller先生、コーディネーターは遠藤英樹先生です。

私の発表タイトルは「COVID-19以後のツーリズムと地域社会~Mimi Sheller のモビリティ・ジャスティス論を踏まえて~」です。地域社会学の立場から、シェラーのモビリティ・ジャスティス論の批判的検討を行います。

要旨

発表スライドの構成は以下の通りです。

  • 【発表の前提】「移動論的転回 mobility turn」後の地域社会
  • アクターネットワーク理論(ANT)による補助線~いかにして集合体 collective=コモンズは形成されるか~
  • 新型コロナウイルスと地域社会~グローバル・ツーリズムとの相同性!?~
  • コロナ禍における地域社会の組み直しの例
  • 地域社会によるツーリズム・モビリティーズのマネジメント~バリ島サヌール地区の場合~
  • まとめ~観光社会学×地域社会学の接続点

一言でいえば、シェラーのモビリティ・ジャスティス論の有効性は認めつつも、それが二分法的思考(たとえば「グローバル・ツーリズムに抵抗する地域コミュニティ」のような思考)パタンに陥る危険性とともに、そこには持続可能性がないことを指摘します。

そして、描き出すべきは、移動(収奪的なグローバル・ツーリズム)と不動(抵抗の拠点)の二分法ではなく、ホスト側の地域コミュニティにおけるさまざまな移動の連関であり、これこそがシェラーのいうkinopoliticsであることを、日本やバリ島の事例を参照して論じます。

つまり、ここでの「移動の政治」とは、ひとつの固定された正義(単一性)に拠って立って移動を支配しようとする政治ではなく、さまざまな移動の連関のなかで単一性(集合性)を組み上げていくことを可能にする政治です。

全体プログラム

13:00  開催の挨拶:藤巻正己氏(立命館大学)

13:10  ミミ・シェラー氏紹介:遠藤英樹氏(立命館大学)

13:20  基調講演

Ethical Tourism and Mobility Justice after the Pandemic: The Future of Global Travel
ミミ・シェラー氏(ウースター工科大学) 

14:30   パネリストによる発表        

    アダム・ドーリング氏(和歌山大学)

    伊藤嘉高氏(新潟医療福祉大学)

    原一樹氏(京都外国語大学)

    渡部瑞希氏(帝京大学)

    遠藤英樹氏(立命館大学) ※コーディネーター  

16:30   コメント

    神田孝治氏(立命館大学)

    山本理佳氏(立命館大学)

16:50 ディスカッション  

追記(2022.2.15)~動画公開

Youtubeで当日の動画が公開されました。

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