伊藤嘉高「アクターネットワーク理論と記述的社会学の復権」『現代思想』2023年3月号掲載
私がブリュノ・ラトゥールの議論を本格的に追いかけるようになったのは、ごく最近のことである。その最初のきっかけは、最初の就職先であった医学部の医師たちとの会話である。彼/彼女らに社会学の議論を紹介すると、面白いかどうか以前…
私がブリュノ・ラトゥールの議論を本格的に追いかけるようになったのは、ごく最近のことである。その最初のきっかけは、最初の就職先であった医学部の医師たちとの会話である。彼/彼女らに社会学の議論を紹介すると、面白いかどうか以前…
窓ガラスは透明な存在だ。窓ガラスの向こう側の世界をありのままに見せてくれる。しかし、本書『窓の環境史』が描き出しているのは、そんな窓ガラスが、公衆衛生などの実践のなかで人間と非人間の関係を組み直し、人間と非人間が織りなす…
今年度から14年ぶりに社会学の世界に戻ってきた。かつての自分の研究をいくらか客観的に見ることができるようになり、この論文では、20代の頃に取り組んでいた「創発の社会学」に対する自己批判を行った。 『立命館大学人文科学研究…
★第1学期・第2学期(月曜4限) 「私の行為は私が決めているのではない」―社会学の根底をなすこの発見は、今日の「なんでも自己責任にされる社会」に対する強力なカウンターであるはずだ。しかし他方でこの言明は、(a)「私が悪い…
アンソニー・エリオットは自己論で知られる社会学者ですが、その最新刊の翻訳『デジタル革命の社会学―AIがもたらす日常世界のユートピアとディストピア』が刊行されました。翻訳者のお一人である遠藤英樹さんにご恵送いただきました。…
2022年9月18日、科学社会学会第11回大会(於・大阪大学)企画セッション「ANT 入門 and after」に報告者として登壇。タイトルは「誤った研究をしないための科学論として ANT を提示する」。 6月に刊行され…
2022年9月14日、日本都市社会学会第40回大会(於・実践女子大学)シンポジウム「コロナ禍における都市空間と排除」に討論者として登壇。タイトルは「ポストコロナを見据えたキノポリティクス(移動の政治)の視点から」。 報告…
アクターネットワーク理論について、私は新参者に過ぎません。大学院生時代に英国のモビリティ研究を摂取する際に間接的に触れ、いくつかの論文で参照することはありましたが、本格的に学び始めたのはここ5年ほどです。 ラトゥールの拙…
都市は移動によって成り立っています。社会学ではさまざまな移動に焦点を当ててきましたが、現代日本の都市居住環境を大きく左右しているのが医療の移動です。 高度成長時代には、交通網が発展途上であったために、1都市に1急性期病院…
前任校(新潟医療福祉大学)の仕事の成果(その2)です。内科医の井上弘樹先生との共著です。私自身は診療情報管理士の教育に携わっていませんでしたが(診療情報管理士の資格は取りましたが、私が担っていたのは診療報酬請求事務能力認…